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父権制社会と母権制社会

この男装と女装の非対称性の理由として考えられるものは、人間の社会における父権制と母権制の差異である。古代の社会の文化や慣習などを研究したバッハオーフェンは、歴史時代に入ってより後、多くの社会が男性優位で、男性が家長として家族を支配する形態の社会が一般であるが、それよりも古い時代にあっては、女性が家長として家族を統括する母権制社会が一般に存在したことを論じた。バッハオーフェンの仮説には一定の根拠があることが今日知られる。

父権制社会(家父長制社会)においては、一般に男性が女性より優位な存在とされ、男性が女性を支配し管理するとの思想が一般である。社会の指導者・支配者も一般に男性である。古代エジプトの新王国時代、第18王朝のハトシェプスト女王は、女性であってファラオの地位についた稀な人物であるが、彼女の正式な像は、付け髭を付け、男装した姿で表現されている。古代エジプトは、母権制社会であったとも言えるが、それでも父権制の影響が大きかったことが、このことからも知られる。
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古代に存在した母権制的な宗教においては、男性がみずから去勢し、女装して女神に仕える神官となることがあった。小アジアのフリギアの大女神キュベレーの帰依者(複数形で、galli と呼ぶ)は神官ではなく、みずから去勢している場合も去勢していない場合もあったが、女装して女神に仕えた。ディオニューソス神は、葡萄酒の神として知られるが、ギリシア人以前にクレータで崇拝されていた神で、その祝祭においては社会的規範の反転が起こり、少年や男性は女装して、どんちゃん騒ぎで神を祝った。

カール・ユングは、神話学者ケレーニイとの共著『神話学入門』のなかで、童子神(永遠の少年の原型)について論じ、童子神は神話的な両性具有を有し、古代に造られた彫像・テラコッタ像などで、女装したエロース神の像が存在することを指摘している。

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2009年11月27日 01:59に投稿されたエントリーのページです。

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